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2005.04.03 「イエスの家族」 (マタイ12:46〜50)
船戸良隆師 |
今週のメッセージは、「イエスの母、兄弟」から「真の家族とは何か」を聞いてまいりましょう。ある聖書学者は、このところを「人間としてのイエスの生涯におこった最大の悲劇は、肉親から理解されなかったことである」と述べています。
確かにイエスは家族から理解されませんでした。ヨハネによりますと、「兄弟たちもイエスを信じていなかったのである」(7:5)と記されています。それどころか、マルコによれば「身内の人たちはイエスのことを聞いて取り押さえに来た。あの男は気が変になっているといわれていたからである。」(3:21)と言っています。
イエスの母と兄弟たちは、イエスを連れ戻そうと、ナザレからカペナウムまでやってきたのです。ところがイエスの周りには人がいっぱいで、近づくことができません。そこで、ある人がイエスに「あなたのお母さんとご兄弟が話したいと来ていますよ」と告げました。これに対するイエスの答えは「私の母とは誰ですか」と言うのです。
家族の絆の強いユダヤの社会においてこのようなことを言うのは、きわめて異例のことです。周囲の人々も、いや、一番驚いたのは、イエスの母であり、兄弟だったでしょう。なぜ、イエスはこのように言ったのでしょうか。次にイエスはこういいます。「天の父の御心を行う人は、私の母であり兄弟である。」すなわち、真の家族とは、単に血縁関係によって結ばれているのではなく、「父の御心を行う」真理に従って歩む群れ、イエスのみ言葉に従って歩むものたちである、と言われました。ここに、真の、新しい家族が誕生しました。
このことは、現代の世界においても、また、日本においても非常に重要なことではないでしょうか。未だに、日本の社会においては、地縁、血縁、権威、伝統、慣習、前例などが物事の判断基準とされていますが、イエスは、2000年の昔、真の家族は、そして判断の基準は、「父の御心を行う」という基準に従うことであると述べられました。
血縁による家族、地縁による日本などにとらわれることなく、正しいことを正しいとする基準に基づいた兄弟姉妹の集まりを作っていきたいと願います。 |
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